ご挨拶
この度、令和4年6月より西多摩医師会長を拝命致しました進藤幸雄と申します。どうぞ宜しくお願い致します。
西多摩は東京都多摩地域西部に位置し、青梅市、福生市、羽村市、あきる野市、瑞穂町、日の出町、奥多摩町、檜原村の8市町村により西多摩広域行政圏、及び二次保健医療圏が構成されています。総面積は572.70㎢で、東京都全体の26%を占め、人口は約40万人、東京都人口の約3%です。西側は奥多摩町や桧原村など緑豊かな山間地域からなり、秩父多摩甲斐国立公園となっております。東部地域は市街地となり、東京のベッドタウンとなっています。
圏域内には市立青梅総合医療センター、公立阿伎留医療センター、公立福生病院、町立奥多摩病院等の基幹病院を含め28の病院がありますが、都区部の療養者を受け入れてきた経緯から、療養病床、精神科病床、高齢者施設が多く、急性期病床は少ないことが特徴です。診療所を含めると190の医療機関がありますが、都区部と比較し人口対医師数は2/3程度で、全国平均と比較しても8割程度の医師数しかいません。山間の過疎地域を含む広大な範囲を少ない医療資源で支えなければならないという地域特性があります。
西多摩圏域の高齢化率は30.5%で、東京都の22.1%とはかなりの差があります。特に西側山間地域の奥多摩町や桧原村では50%超という深刻な状態を迎えています(JMAP)。支える世代の減少する中で、いかに住み慣れた地域で自分らしい生活を最期まで持続できるか、という地域包括ケアシステムの構築、発展が課題です。医療機関同士の切れ目のない連携はもちろん、保健所や自治体、歯科医師会、薬剤師会、訪問看護、介護関連施設、住民の方々等、地域全体で協力して取り組めるよう、医師会としての役割を果たしていきたいと思います。また少子高齢化、人口減少に歯止めをかける意味でも周産期医療、小児医療、学校保健、健診事業、予防接種、産業医活動等も体制維持進化が必要と考えています。
また、山間部が広く、町も河川流域を中心に広がっており、自然災害が起こりやすく、発生した場合には孤立しやすい特性があります。2019年の豪雨災害では実際に被災、孤立する地域も発生しました。これらの地域特性から災害医療体制の充実にもしっかりと取り組む必要があると考えております。
新型コロナウイルスとの闘いもすでに2年以上が経過しました。この間、保健所、基幹病院、自治体と協力し、PCRセンターの設置や出務、発熱外来の開設、ワクチン集団・個別接種、自宅療養者支援、酸素ステーションへの出務、高齢者施設クラスター対応、等医師会の総力を挙げて対応して参りました。新興感染症に対する危機管理は新型コロナウイルスで終了ではなく、今後も継続的に必要とされるものであり、今回新型コロナウイルス対策を契機に築かれた連携体制を終了させることなく、自然災害時医療体制と同様に今後も進化を続けていきたいと思います。
一般社団法人 西多摩医師会